薬剤師がうつ病で退職代行を使ったら、50万円の傷病手当金を受け取れた話

薬剤師

※この記事は筆者の体験談に基づくものであり、退職や退職代行の利用を推奨するものではありません。あくまで個人の事例としてご理解ください。

はじめに:退職代行を使う人が増えている今だからこそ

2025年春、新入社員が入社前や入社後すぐに退職代行を使って会社を辞めるケースが話題になっています。「甘えている」と批判的な意見もありますが、実際に追い詰められたときに“自力で退職手続きができない”人も少なくありません。

私もその一人でした。正社員薬剤師として働いていた私は、うつ病を発症し、自力で休職や退職を申し出るのが難しい状態に。結果的に弁護士事務所の退職代行を利用し、退職と休職を経て、傷病手当金として約50万円を受給しました。

この体験を通じて、退職代行後に実際どんな手続きが必要なのか、傷病手当金を受け取るまでの流れと現実的な出費など、少しでも参考になればと思い、今回記事にまとめることにしました。

退職代行を使ったタイミングと背景

私がうつ病と診断されたのは、2022年12月29日。 そのわずか2日後の2022年12月31日、弁護士が運営する退職代行サービスに連絡をしました。そして実行日は翌日の2023年1月1日。1月2日が年始の初出勤日でしたが、会社には一切連絡せず、出社もしていません。

当時の私は、中途入社で2022年4月からその会社に勤めていました。9ヶ月の在籍では、傷病手当金の支給条件(在籍12ヶ月以上)を満たさないという説明を受け、弁護士から3ヶ月の休職を提案され、同じ事務所が行っていた休職代行も依頼しました。

  • 退職代行費用:5万円
  • 休職代行費用:月額3万円 × 3ヶ月=9万円

計14万円かかりましたが、結果的には傷病手当金で補填できました。

弁護士代行を選んだ理由と安心感

インターネットには「退職代行を使うと損害賠償請求されるかもしれない」といった不安を煽る情報も多くあります。 私は弁護士が運営する退職代行を選んだことで、法律に基づくやりとりや書類作成をすべて任せることができ、仮にトラブルがあっても交渉してくれる安心感がありました。

また、「明日から出社もしなくていいし、会社に直接連絡もしなくて大丈夫です」と言われたときは、本当に心が軽くなったのを覚えています。

傷病手当金を受け取るまでの流れ

「うつ病診断」→「退職代行実行」→「休職代行開始」→「毎月診断書提出」→「退職」→「傷病手当金受給」

診断書の提出と毎月の手続き

私が通っていたのは心療内科で、診断書の発行は保険適用外。1通あたり約5,000円(病院によって違います)でした。これを3ヶ月分、会社に提出し続けました。

診察代+薬代は毎月約3,000円。これも自己負担。 さらに休職中は給与が支払われない上に、社会保険料(約5万円超/月)も全額自己負担でした。

手当金の受給額とスピード

退職が確定したのは2023年3月。そこから約1ヶ月後には傷病手当金として約50万円が振り込まれました。

手取りが17万円弱だったと仮定すると、3ヶ月間で約50万円という金額は納得の範囲内。思っていたよりスムーズで、早くて驚いたのを覚えています。

傷病手当金で本当にカバーできたのか?

ここで、退職から受給までに実際かかった支出をまとめておきます。

項目費用目安
退職代行費用5万円
休職代行費用3万円 × 3ヶ月 = 9万円
社会保険料約5万円 × 3ヶ月 = 15万円
診断書5,000円 × 3ヶ月 = 15,000円
診察・薬代約3,000円 × 3ヶ月 = 9,000円
合計約296,000円

確かに、傷病手当金50万円で結果的には補填できましたが、貯金が大きく減ったのも事実です。

その後の働き方にどうつながったのか

この一連の経験で、私は「正社員に戻ること」に抵抗を感じるようになりました。

最初は求人サイトで正社員を探していましたが、またあのような環境に戻るかもしれないと思うと、足が止まりました。

改めて自分が薬剤師を目指した理由を考えたとき、「白衣を着て働きたかった」「安定していて生活を支えられる収入が得られる」——そうした気持ちが原点だったと気づきました。

そこで、派遣薬剤師という働き方を選ぶようになりました。残業なし・人間関係のミスマッチが少ない職場を条件に選べる今のスタイルは、当時の自分にとってベストな選択肢でした。

今は頼られる場面も増え、やりがいと自分の時間のバランスが取れています。

退職代行を考えている人へ

退職代行を使うことに「逃げ」や「悪」というイメージを持たれることもありますが、限界まで頑張ってしまった人にとっては、「回復の第一歩」になる手段だと私は思います。

もちろん、安易な判断で使っていいものではありませんし、制度の仕組みや出費は事前にしっかり把握することが大切です。

でも、「辞めたらどうなるの?」と不安な人に、私の実例がひとつの参考になればうれしいです。

転職を考えたときに利用したサイト

私は派遣薬剤師という働き方に移る際、以下のサイトを利用しました。

どのサイトも派遣や時短勤務で魅力的な求人が揃ってました。自分の理想の働き方を実現するために、当時は本気で比較検討をしていました。

おわりに

退職も、休職も、そして制度の利用も、すべて「自分を守るための選択肢」だと思います。

私は退職代行を使うことは決して悪いこととは思いません。この記事が、「今の職場を辞めるか悩んでいる」、「今の働き方はもう限界かもしれない」と感じている方にとって、少しでも力になれば幸いです。

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